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誤解を招きやすい『1週留学7万円!』のキャッチフレーズ
ウェブ上に掲載されているフィリピン語学学校や留学エージェントのサイトに『1週留学7万円!』とうたわれた宣伝文句をよく見かけます。
この宣伝を見る限り1週間7万円で留学できてしまうように錯覚してしまうかもしれませんが、実際はそうではありません。航空券と現地費用が別途発生いたします。
さすがに航空券が『1週留学7万円!』の中に航空券が含まれていると考える方はめったにおりませんが、たまにおられます。
あまり知られていないのが現地費用の存在です。フィリピン留学経費にはお見積書の納付額(=学費=授業料、寄宿舎費、食費、掃除代、洗濯代)の他に現地で発生する現地費用があります。現地費用には光熱費、テキスト代、ビザ更新費、フィリピン政府が発行しすべての語学学校学生に取得義務のあるSSPという特別学生認可証費などが含まれます。
この中で一番高いのがSSP。大体15,000円くらいします。このほかピックアップ費用、光熱費、教科書代、管理費などがありますのでたとえ1週でもおおよそ2万円から2万5千円くらいの別途支出が必ず発生いたします。
学費自体は7万円と廉価でも航空券と現地費用で総支出は膨らんでいきます。宣伝文句は7万円でも実際には倍以上の費用がかかり、それほど金銭的にお手頃価格ではないという事です。
この記事のテーマは意外と支出がかさむ1週分の留学費用でもやり方次第で4週留学も可能だという事をお伝えするものです。
数字で示す1週費用で4週留学
では実際の数字で比較してみます。
総合計の比較
学校名 | 場所 | 期間 | 部屋タイプ | 学費、現地費用、航空券代の合計 |
---|---|---|---|---|
S校 | セブ | 1週 | 3人部屋 | 162,230円 |
I校 | セブ | 1週 | 2人部屋 | 157,554円 |
We Academy | イロイロ | 4週 | 3人部屋 | 171,900円 |
ILP | バコロド | 4週 | 3人部屋 | 170,200円 |
- 上記はフィルイングリッシュが実際に提示するお見積書の内容(学費+現地費用)です。
- 航空券費用は各地域相場である5万円を加算いたしました。
- 上記学費にはフィルイングリッシュの学費割引がすでに適用されております。
- 上記金額は為替レートにより上下しますが、学校間の差額比率は同じです。
コースの内容
上記の金額で滞在中に実際に受けられる1日の授業内容構成は以下となります。
学校名 | 部屋タイプ | 一日授業構成 |
---|---|---|
S校 | 3人部屋 | マンツーマン4時間+グループ4時間 |
I校 | 2人部屋 | マンツーマン6時間+グループ2時間 |
ILP | 3人部屋 | マンツーマン5時間 |
We Academy | 3人部屋 | マンツーマン4時間+グループ2時間 |
総合計費用の内訳
学校名 | 学費 | 現地費用 | 飛行機代 | 総合計 |
---|---|---|---|---|
S校 | 90,600円 | 21,630円 | 50,000円 | 162,230円 |
I校 | 91,300円 | 16,254円 | 50,000円 | 157,554円 |
ILP | 95,000円 | 25,200円 | 50,000円 | 170,200円 |
We Academy | 103,000円 | 18,900円 | 50,000円 | 171,900円 |
1週分で4週留学ができるからくり
上記費用を比べた場合1週と4週では1万円ほどしか金額の差がありません。この数字を見れば本当は4週留学したいがお金がないので1週留学を選択するという考え方はなくなりますね。
それではなぜそのような事が可能なのかについてご説明いたします。
まず知っておくべきことは1週留学も4週間でも航空券費用はほとんど同額くらいの物を探せるという事。日本からセブもイロイロもバコロドも金額的には大体同じです。なのでここに1週‐4週の差額はほとんど発生いたしません。
次は現地費用です。これも大きな差がでません。上記『総合計費用の内訳』の現地費用では1週S校の現地費用より4週We Academy校のほうが2,600円ほど安いです。(不思議です。。。)
残るは学費。ここの金額の差が留学期間を大きく左右いたします。
上記でご紹介いたしましたS校、I校ともセブでは有名な名門校ですが、相場と比べて決してとびぬけて高い1週学費ではありません。相場かそれより少し高いくらいです。ただ1週の場合は同じ学校の4週留学より割高価格設定になるのが一般的です。
4週留学の25%ではなく40%設定など。一方4週留学ですと学費割引も大きくなります。
1週の学費割高設定と4週の大きな割引という前提の下、コストパフォーマンスのいい学校を探せば1週と4週の金額の差はぐぐっと狭まります。
そして出た結果が上記比較表の金額となります。
安い語学学校は『安かろう悪かろう』ではないかという疑問
私が提案させていただいた学校について複数名のお客様から『学費が安すぎる学校は指導レベルも低いしろくな事はないと他のエージェントから指摘された』と相談された事があります。私から言わせればそのカウンセラーはフィリピン留学業界の実情をよく把握していないか、とにかく自分やエージェントが推す学費が高い学校に登録させるために格安学校を『悪』とうそぶいているか、どっちかとしか疑わざるを得ません。もちろん悪かろう安かろうもありますが、逆に高かろう、悪かろうもあります。ひとくくりで定義するのは無理です。
バギオというフィリピン留学が盛んな街があります。ここは学校数が少ないですがフィリピン留学を代表するトップランキングレベルの語学学校がゴロゴロあります。指導平均レベルもかなり高い事はフィリピン留学業界をよく知っている人ならほとんど認める事です。ですがバギオの学費はセブの8割程度です。
2015年頃に日本で多くのフィリピン留学エージェントが創業したころは『バギオは指導レベルが低いのでセブ留学がいい』と吹聴する日本人カウンセラーが多かったように思えます。実際にたくさんお客から私のところにお問い合わせがありました。そのころはバギオ校の実力があまりしられてなかった側面もあります。ですが今そんなことを言えばそのカウンセラーは多くの客から笑われます。バギオの実力がだいぶ知れ渡るようになったからです。但しセブにも名門校はたくさんあります。ビジネスや医療英語などの学習はバギオよりセブがいいです。
学費が低かろうが高かろうが要は学校次第という事です。それとお客が望む学校の指導スタイル次第という事にもなります。
紹介学校の比較
それでは本日ご紹介いたしました4校をいろいろな側面で比較してみます。
施設と食事
施設は4校とも綺麗です。We Academyは施設の老巧化の問題を抱えておりましたが2019年3月にホテルを改造建築した新キャンパスに移転しましたので施設の問題を解決させました。
学校名 | 校舎 | 寄宿舎 | 付帯施設 | 食事 |
---|---|---|---|---|
S学校 | A | A | A | A |
I学校 | A | D | A | A |
ILP | B | B | D | D |
We Academy | B | B | D | D |
Aはかなり優秀、Bは平均より優秀、Cは普通、Dは平均より落ちる、で区分けいたしました。
4校共校舎の綺麗さはかなりいいか平均より上です。寄宿舎ではI校のみ平均より落ちます。格安学校の寄宿舎は清潔度では結構いい線を保っています。
食事と付帯施設で2校の格安学校は劣っています。
料金が安いのでどこかでひずみが出てきます。格安学校は食事であまりいい評判を聞きません。ごはんとスープは人の好き嫌いを選ばないのでおかず面で不安を抱かれる方は日本からのり、梅干し、お茶漬け、ふりかけなどを持ち込まれる事を推奨いたします。
格安学校は小規模学校が多いのでジムなどの付帯施設にあまりお金をかけない傾向にあります。ILP自体はジムがありません。ILPに行かれる場合には月2,000円くらい支払って近場のスポーツジムに通うという選択はございます。
学習指導レベル
学習指導レベルですが、S校、I校、We Academyとも優秀です。初級だけでなく中級、上級も対応できます。よく調査すれば『悪かろう安かろう』でない格安学校を見つける事ができます。
We Academyの弱点は指導層が薄い事。I校やS校ですと先生と合わなければ違う希望タイプの先生をすぐ見つける事ができますが、We Academyはタイミングによっては見つけられない場合があります。
それと小規模学校は学生の人数も少ないのでグループ授業で英語のレベル分けがきちっとなされない場合がございます。
但し小規模学校では学生や講師と距離が近いので気軽に仲良くなりやすいというメリットもあります。
ILPは英語超初級者、初級者が多く集まる学校です。他の3校のように長期留学でも初級から資格検定まで導いてくれるレールはありません。講師の指導レベルの他の3校よりはっきり落ちます。
ですが英会話習得という目的でしたらILPのような語学学校を必要とされる方も必ず存在いたします。英語ビギナーが多い学校は講師が特に我慢強く、親切、丁寧な傾向があります。
本稿を書いている間にI校に通っておられるシニアの方から『先生の話すスピードが速すぎるので先生を変えてほしい』というメールをいただきました。優秀な先生の優秀な講義を聞くより初心者の立場にたってわかりやすく我慢強く導いてくれる先生のほうが学生にとって有益な場合があります。特にシニアビギナーの方はその傾向が強いです。
ILPは規則が甘い学校です。放課後には学生同士や講師も入り混じって外で飲み会をする事が多いです。昼間はマンツーマンで英会話を習って夜は飲み会で実践披露。今まで机の上の学習対象だけであった英語が実際のコミュニケーション手段だと気づかせてくれる環境を提供してくれます。英語をやろうと決心しても3日坊主で断念されるような方には良い環境です。
指導レベルが高くないので英語レベル中級、上級者にはおすすめできませんが、英会話目的の英語ビギナーの選択肢としては十分アリでしょう。
結果的に1週留学より4週留学のほうが伸びるか?
いろいろ格安学校のメリット・デメリットを書きましたが原点に戻って『それでも同じ費用なら1週留学より4週留学するべきか』という質問に戻ります。
答えは英会話目的の英語初級者であればPositive(はい)です。4週滞在なされれば大抵の方は英語が怖くなくなりますし、積極的に使っていこうとする姿勢も生まれます。
留学に行く前は引っ込み思案だった大学生が帰国時日本の空港に出迎えに来られた大学教授に積極的に英語で話しかけて来たという話を何回か聞きました。
英語をまったく知らないまま1週留学に臨めば先生が言う事をききっぱなしでしっかりつかむ事もなくそのまま帰国するという方が多いです。
この状態で講師と片言でも言葉のキャッチボールをしてコミュニケーションを楽しめるようになるには通常2~3週間かかります。
もし時間が許されるのであれば4週留学を強くおすすめいたします。
1週留学はよくないのか?
そんなことはありません!
例えば英語中級、上級者の方。このような方々は英語の基本というものをわかってらっしゃいます。ただ英語の分野別で弱い部分もあります。そこをピンポイントで集中的に強化するという方法は非常に意義があります。
たとえば日本人英語中級者の場合リーディング、語彙、文法はめっぽう強いが英会話がだめという方がたくさんいらっしゃいます。このような方々は1週間使って英会話と発音矯正を徹底的にやればいいです。
外資企業に勤めていて社内英語やビジネス英語を短期間に強化したい。このような場合も有益です。
それとたとえ英語力が低くても使う範囲の英語が決まっている方にもおすすめです。たとえば外国人観光客の買い物客が多いお店、外国人労働者を多く抱える工場、外国人がよく訪れる旅館や料亭の仲居さんたちなど。
学校にあらかじめ勉強されたいシチュエーションを伝えておいて、1週間の間にその部分だけ徹底的にやります。このアプローチなら日本に帰国しても実践ですぐに役立ちます。
一番おすすめできないのは渡航前の下準備なくなんとなく1週留学にのぞむ英語初級者。何かはっきりしたものをつかむ事ができずお金と時間を無駄にする危険性が高いです。
そうならないためにも英語ビギナーの場合には渡航前の日本での学習準備が非常に重要になってきます。具体的には中学英単語の徹底暗記です。中学英単語をきっちり暗記しておきさえすれば講師とのカタコト単語のコミュニケーションがスタートから楽しめます。すると英語が面白くなってきます。暗記した単語をどのように使うかを習いに行くという下準備ができた留学なら1週でも大きな意味がございます。