フィリピンの大型ショッピングモールの中になかなか探せないお店があります。DVD販売店です。
正規品販売ショップはSMなどの大型ショッピングモールで2~3年くらい前までは1~2ありましたが、今は見かけません。海賊版DVD氾濫によるあおりを受けて立ち行かなくなったと推測されます。
マニラのマンモスショッピングモールをくまなく探せば見つけられるかも知れませんが、今の所マニラで生き残っている正規DVD店を探せておりません。
劇場放映タイミングと同じ海賊版販売
今この原稿を書いている時にショッピングモールのシネマシアターで上映されている映画『ロビンフッド』はすでに道端の露店で売られています。もちろん海賊版です。
映画館の見料は200~300ペソ。コピー版1枚の相場は25ペソ。劇場価格の10分の1くらいです。これでは勝負になりません。正規ショップが消えていくのも無理ないです。
どこにでもある海賊版ショップと豊富な種類
海賊版DVDショップは日本におけるコンビニのようにそこら中にあります。ショッピングセンターの中の販売コーナーや、ストリート沿線に構える店舗、道端の露天商など。
海賊ショップで売られている商品は最新あるいは2~3ヶ月前に劇場放映された作品がメインです。取り扱い商品の6~7割くらいを占めると思います。その他はアメリカドラマシリーズワンセットや韓流ドラマ、フィリピン映画などです。
基本英語の字幕がつきます。
昔の名作は見かけませんが、オールディーズ専門の海賊版ショップもあります。そういう所ではスピルバーグや黒澤明、ヒッチコックやキューブリックなどの作品がずらりと並びます。
販売価格は映画が1枚20~25ペソ、ドラマシリーズワンセットが50~60ペソ、コレクターセットが40~50ペソです。
ドラマシリーズには1枚か2枚のDVDにドラマワンシーズンがすべて収められています。『シャーロック』、『24』、『ウォーキングデッド』など海外で大ヒットしたドラマはほとんどすべてシーズン別で整理されております。
コレクターバージョンはシリーズの映画や監督、俳優などの作品を抱き合わせたもの。
多くはないですが日本の作品もいくつか見かけます。日本作品はNaruto、スラムダンクなどアニメが強いです。ちょっとした規模の店舗であればどこでもおいてあります。音声は日本語オリジナル、字幕は英語です。タガログ語吹替バージョンもあります。
今まで見かけた日本作品としては銀魂、ルパン三世、デスノート、るろうに剣心、君の名は、宮崎駿作品集、進撃の巨人、寄生獣、アウトレイジ、シンゴジラなどがありました。
DVDだけでなくブルーレイもあります。
誰が海賊版を作っているのか
誰が違法DVDを作っているかはDVDショップの人たちもわからないようです。海外の大きなシンジケートじゃないかとお店の店主が言っておりました。
わかっているのはフィリピンの元締めはマニラのキアポあたりいるらしいことくらいです。アンヘレスやスービックなどマニラ郊外でコピーDVDショップを営む人たちはキアポという街に仕入れにいくそうです。
キアポにはおおきな市場があり、そこで売られているDVDは最新のものでも10~15ペソくらいと安いです。
海賊版DVDを購入すれば捕まるか?
知的権利の保護はフィリピンの憲法9239号で保証されております。違反者は懲役3年から6年の実刑を受ける場合がございます。違反者が外国人の場合には服役後に国外退去、フィリピン再入国禁止処置などが取られる場合があります。
Buying pirated DVDs in Philippines(英語)
法律では厳しくなっていますが、実際にコピーDVD商品を購入した人で違反に問われた人は見た事もきいた事もありません。盗賊版DVDは生活の中に深く溶け込んでいるので違法行為をしているという感覚を庶民はもっていないように見えます。
国家も社会必要悪と認め、見て見ぬふりをしているように見えます。(これらを日本に持ち込めばれっきとした犯罪です!)
但し過去に問題になった人が一人います。ベニグノアキノ大統領政権下の閣僚メンバーです。彼がコピーショップでDVDを買う様子が隠しカメラで盗撮され、インターネットで公開されてしまいました。
さすがに法を誰よりも遵守すべき行政官トップが法を破ったのですから騒ぎになりました。
消費者には甘いフィリピン政府ですが、売る人間に対しては商品押収、経営者の逮捕など近年取り締まりを強化しているようです。背景には売上がガタ落ちとなった国内映画産業の嘆願や海外からの規制強化の要望や非難の声などがあります。
キアポで10年以上海賊版DVDを販売して生計を立ててきたアントニオさんは今の売り上げがピーク時の10分の1まで下がった吐露します。Your illegal streaming habit is huring the Philippines film industry
国や警察の規制強化によるものだそうですが、彼にとって一番恐ろしい敵はインターネットに氾濫する無料海賊版映画やドラマなどだそうです。