辞書なしでペーパーバックにチャレンジしてみよう

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浜辺で本を読む人
本の読み方には一つ一つの意味を深く考えながら理解して行く熟読と一つ一つの意味にこだわらず全体で何を言おうとしているかの大意を把握して行く略読があります。
日本では一言一句解釈していく精読スタイルが広く普及しています。この読み方は英文や英語の構成や構造を理解する上で大変有意義な学習方法です。しかしグローバル化が進み多忙な日々の中で膨大な英文資料の中から自分に必要な部分を効率よく取り出すという実務的な英語活用術にはあまり向きません。
辞書なしに話の本筋を追って英文ペーパーバックを読み切る。略読です。こういうアプローチは英語を実務的に使いこなすのに極めて有効な訓練方法です。ざーっと大まかに読み自分が必要な部分を抜き取る。略読がうまくこなせればこういう仕事を素早く処理できるようになります。
略読は基本辞書を使わず推測力を使います。辞書なしで読むのは怖いと考える方がいらっしゃると思いますが実際にチャレンジされてみればそれほど難しくない事を実感できるはずです。大学受験を経験された方くらいの英語語彙力があれば十分やれます。

略読は子供の頃に体験済み

本を読む子供
ひとつの文章や文脈の中にいくつか知らない単語が出てきます。ここでひとつひとつ辞書を引いて調べているといつまでたっても略読ができるようになりません。知らない単語は想像力で目星をつける、あるいは知らなくてもとばして全体的な意味だけは把握するようにする。
目新しいアプローチに見えますがこのような読書術はすでに子供の頃に体験済みだと思われます。本の中で知らない言葉がたくさん出ている。だが最後まで読み切るとその本の内容をきちんと把握している。子供の頃にそんな記憶はございませんか。
私は中3の時に司馬遼太郎の『竜馬が行く』を読みました。当時は尊皇攘夷、大政奉還、薩長同盟など小説のキーワードの意味がわかりませんでした。でも龍馬(本名は坂本竜馬ではなく坂本龍馬です。)がどんな人でどんな活躍をしたかは大体わかるようになりました。細部にこだわらないこんな読み方でいいと思います。

簡単な英文テキストで略読にチャレンジ

本を読んでいるロボット
Once upon a time, in a far-off country, there lived a merchant who had been so fotunate in all his undertakings that he was enormously rich.
こちら『美女と野獣』というテキストの出だしです。

英語初級者が略語的読み方をすると;

知っている単語はcountry, lived, rich

Livedは暮らしていたです。暮らすというのは人間がする行為ですのでA merchantは人間であるはず。Richはお金持ち。
略語的に読むとお金持ちの人間が暮らしていた。これでこの文章のエキスを掴んでいます。
次は想像力を使います。in a far-off countryは知らないけどfarは遠く、offは離れてなので a far-off countryで遥か遠くにある国になると推測。
遥か遠い国にお金持ちの人間が住んでいた。
いつ?Livedと過去形を使っているので過去。どこかに時間の表現がないか探してみる。あった。Once upon a time。この中に時を表すTimeが入っている。しかしこの表現自体は知らない。でも1 years ago, 1 monnth agoなどはっきりした期間を書いていない。
過去の事。するとOnce upon a timeは昔という意味ではないかと推測します。
昔遥か遠い国にお金持ちの人間が住んでいた、まで進みます。
続きの推測はRichから考えます。なぜRichなのか。Fortunateという単語が目に止まります。Fortunateは知らないけどFortuneなら知っている。AKBの歌に『恋するフォーチュンクッキー』というのがあった。フォーチュンクッキーは海外の中華料理屋に行くとデザートでだされるおみくじクッキーだったな。フォーチュンクッキーは幸運クッキーと訳されていた。
FortunateはFotuneの形容詞っぽいのでラッキーな、運がいいになると推測。
ではお金持ちさんはどのように運がいいのか?ここでMerchantという言葉の意味を知っていれば非常に正解にたどり着ける想像をしやすいです。Merchantは商人の事。シェイクスピアの有名な舞台劇ベニスの商人の原題は『Merchant of Venice』です。
商人だと知っていれば商人が運がいいという意味は商人がビジネスで成功しているという意味になります。Undertakingsはビジネス、事業だと容易に推測できます。ビジネスで成功して富を築いた商人になります。

ただこのような細部までの表現を把握しておかなくても『昔遥か遠い国にお金持ちの人間が住んでいた』と理解できていればこの文章の一番キモの部分を掴んでいる事になります。このようなおおざっぱな読み方で最後まで進んでも大体の内容は把握できているはずです。

単語の呪縛から開放されよう

Read a bookと書かれたボード
略読のポイントはいくつかの単語を知らなくても全体で読むという視点にたてば多くの場合全体像をつかむ事ができるという事です。
上記で説明させていただいたように、知らない単語がいくつかあっても全体の文脈を見て推理していく。推理できない場合には同じ文脈を読み返す。あるいは前後の文章を読んでそこからわからない部分を推理する。そうすると話の流れから推理できます。それでもわからなければ1ページすべて読んで意味を理解しようと務める。
それでも理解できない場合には無視して通り過ぎます。ページがずーっと先に進んだときに振り返って意味がわからなかった部分を再度読むと理解できるようになる事もたまにあります。
でも理解できない文脈や箇所がたくさんあったとしても話の大意は大体掴めるでしょう。

英文テキストラダーシリーズというのがあります。ラダーシリーズ
レベル1は1,000、レベル2は1,300、レベル3は1,600、レベル4は2,000の英単語を使っております。オバマ大統領の生い立ち、錦織圭のサクセスストリーなどトピックも豊富です。
ただ1,600個レベルだから基本英単語を1,600個完全暗記してから読むテキストと規定しないほうがいいと思います。1,600個でレベル4の2,000単語レベルなら知らない単語は400個。4分の3以上は知っている単語数という計算になりますので残り4分の1は想像力で推測します。

最初のオススメペーパーバック

海辺に広げられたペーパーバック
最近アメリカ作家Jeffery DeaverのThe Bone Collectorというサスペンス小説を読みました。デンゼル・ワシントンとアンジェリーナ・ジョリーで映画化もされております。
これが難しいったらありゃしない。各式ある文章ですが、使わている単語も構文も難易度が高いです。理解できない文脈が多く何度も同じ箇所を読み返してようやく話が理解できたという事も結構ありました。
こういう小説を略語チャレンジの一発目で選んでは絶対いけません。せっかくやる気にみなぎっていたのに英語は難しい、英語は怖い、英語はやだ、になってしまいます。
アメリカ人人気女性作家にDanielle Steelがいます。ペーパーバックですこし本が分厚いですが彼女の書いている英語は非常に簡単です。高校英単語レベルで十分読みこなせると思います。しかも話が絶妙に面白い。
ぐいぐい引っ張られていきます。初めての略読チャレンジブックとしては彼女のLighteningかAccidentあたりをオススメいたします。紀伊国屋かアマゾンで購入できます。
ここで重要なのは難しそうに見えるペーパーバックでも推測力を使えば辞書を開かずに最後まで内容を把握しながら終える事ができるという感覚をつかめる事。最初に読破出来た時には今まで味わった事のない満足感と充実感を味わえると思います。
Daniel Steelを3~4冊読みこなせば英文読書の楽しみを知ってしまったのでやめる事はなくなると思います。次はDaniel Steelより少し難易度が高いシドニーシェルダンやジョングリシャムなどの作品にチャレンジされてもいいです。これらも面白いです。30冊くらい読みこなせばハリーポッターシリーズに入ってもいいでしょう。それほど難しくはないのですがイギリス小説は各式があるのでアメリカ小説ほどイージーではないです。
ペーパーバック読破数30冊を超えればどんな英文テキストでも辞書なしでチャレンジできるという自信が湧きます。ペーパーバックを片手に車かバイクに乗って海辺の洒落たカフェで洋書を読みふけるという贅沢な遊びもできます。

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