ジンベイザメウォッチングと言えばセブのオスロブが非常に有名です。世界で唯一海にいるジンベイザメを必ず見れるスポットとして知れ渡っています。
但しフィリピンには似たような場所がもうひとつあります。マニラの南500kmにあるドンソールです。フィリピンの二つのジンベイザメの里のどこがどう違うのか比較をいたします。
エサやり対自然
一番大きな違いは地元民のジンベイザメに対するアプローチです。オスロブではエサをコンスタントにやりますので付近を離れません。観光客はオスロブにいつ行っても絶対にジンベイザメを肉眼で見る事ができます。
一方ドンソールではエサやりを一切しません。ジンベイが来るのも去っていくのもジンベイまかせなので見れる日見れない日があります。ジンベイザメがドンソール沖に滞在するのは11月から5月。その間ほぼ確実に見れるだろうと言われている期間は3月~5月。6月~10月は自然のエサを求めて外洋に出て行っているのでいません。
浅瀬対沖
もうひとつの大きな違いはその鑑賞方法です。
オスロブは浅瀬
オスロブのジンベイザメは海岸から200~300メートルくらいの所にうじゃうじゃ集まっています。海岸からそこまで10人乗りの長細いボートで移動して海の中にジャンプ。目の前に数匹のジンベイザメが現れます。僕が行った時には20~30漕のジンベイウォッチャーボートが狭いエリアの中をおしあいへしあいしながら同時に浮いておりました。岸辺からジンベイのいる浅瀬に行って戻ってくるまで所要時間は30分くらいです。
ドンソールは沖回遊
ドンソールのジンベイザメは自然体ですのでどこにいるかわかりません。小型船で延々を沖を回遊しながら探します。僕が参加した日は2月中旬だったのですが出航から1時間30分はずーっと探せませんでした。船の前と後ろに船乗りたちが目を光らせて探し続けます。あきらめかけてた後半立て続けに3度発見して一緒に泳ぐことができました。浜辺から沖に出て戻ってくるまでの所要時間は3時間30分。
利便性はオスロブの圧勝
一年中いつでも見れるのがオスロブの特権ですが、もうひとつの利点はセブシティやマクタン島から日帰り見学ができる事。
片道バスで5~6時間ですので明け方でかければ夕暮れ前には戻れます。
一方ドンソルはマニラからの日帰りはかなり厳しいです。できない事もないですがその場合一日で飛行機とバンの往復をこなさなければなりません
マニラからドンソルまでの長距離バスが出ていますが片道13時間かかりますのでこちらは日帰り不可。
値段の比較
オスロブのジンベイザメウォッチング費用は1,000ペソ。ドンソールは1,150ペソ。両方とも水中眼鏡、フィン、スノーケリング付きです。
値段はほぼ変わらないですがオスロブは浅瀬で30分ツアーなのに対し、ドンソールは中型船で沖合を3時間も回遊しながらジンベイザメを探すツアーですので部分的コストパフォーマンスはドンソールのほうがいいです。ただドンソールは一泊はしないと大変ですのでやはり全体的にはドンソールのほうがコストがかかります。
オスロブ商法に対する非難記事
日本語のウェブ検索で『ジンベイザメ、フィリピン』を打ち込むとほぼすべてと言っていいほどオスロブの体験記事とツアー勧誘の広告記事が並びます。ですが英語で『Whaleshark, Philippines』で検索すればドンソールの記事の他、オスロブの商売のやり方に対する非難の記事も見つけられます。鯉の口パク状態、エサでつった囲い状態など。
ジンベイザメは人のエサだけでは必要な栄養を摂取できないのでエサやりを続けると弱っていくとの事。ドンソールのジンベイたちは必要なプランクトンが6月から10月まではドンソールでは得る事ができないので他の地に移動してカバーします
それとこれは僕自身も気づいた事ですがオスロブのジンベイザメは顔や体に傷が目立ちます。ボートを見ればエサをもらえるものと認識して近づいたことからスクリューと接触して受けたものと思われます。それらに対する言及もありました。
商売ではオスロブが大成功
ドンソール沖でジンベイザメが定期的に回遊しているのが確認されたのは1990年代末期頃。地元の人たちはこれを商売に結び付け観光誘致をスタートさせますが『餌をやらない、干渉しない』の原則を今も守り続けています。一方オスロブは2011年に外国人ダイバーが回遊するジンベイザメとの記念撮影を頼んでチップをもらったのをきっかけにジンベイザメを使った商法に目覚め観光誘致活動を推進する一方で、ジンベイザメたちにエサをやりつづけて逃げないように仕込んでいきます。
2019年5月僕がオスロブに到着したのは朝の6時30分。土曜日です。その時点で僕が受け取った番号は169番。私の前に168人います。それからどんどんお客が増えてきます。たぶんその日トータルで400人以上は参加したと思います。僕は3時間またされました。
2020年2月のドンソールの日曜日午前9時。その時点で船で沖に出ているのは9艘。6人乗りですので54名の乗客の計算ですが貸し切り船も多いので実際は40~50人前後。すでに一日で一番書き入れ時のピークの時間は過ぎているのでその日は100名を超える事はないと思います。ジンベイザメが高確率で見れるセミピークシーズン2月日曜日の数字です。
エサやりと自然対決は商売面ではオスロブに大きく引き離されています。フィリピンに詳しい方でオスロブを知っている方は多いですが、ドンソールはたぶん知らないでしょうね。知名度に雲泥の差があります。
ただドンソールでは欧米人の比率が非常に高かったです。船の乗客定員は6名ですがお客はドイツ人3名、スイス人1名、フィリピン人1名、僕の6人でした。他の船にもヨーロッパ人が多かったです。ほとんどアジア人ばかりのオスロブとは対照的です。
欧米人は他の地域の人々に比べ環境や自然保護面で敏感だからかもしれません。
その他アトラクション
カワサンの滝(オスロブ)
セブ島の有名スポットはマクタン、オスロブ、マラパスクア、モアルボアルなどが有名ですがカワサン滝も入ります。ジャングルの中に流れる3つの滝で滝遊びをすることが有名です。かなり危険ですが滝の上から水上にジャンプする遊びも後を絶ちません。カワサン滝はちょうどオスロブからセブへの帰り道の途中に所在します。オスロブとカワサンをセットにするツアーが多いです。ここに立ち寄っても夜遅い時間にセブに戻れます。
マンタボール(ドンソール)
ドンソールがジンベイザメで知られるように前から有名なスポットはマンタボールです。マンタとはエイの事。エイが集中的に集まる有名なダイビングスポットがあります。
滞在中マンタボールでエイの生態系を調べに来たというドイツの女性と会いました。ただそこは潮流が激しいので中級以上のダイバー向けです。オープンウォーターライセンス(初級)の場合別途インストラクターがマンツーマンで付きます。
この他夜にホタルを見学するツアーや2018年に噴火した事で有名になったマヨン山のふもとを四輪バギーで走行するツアーがあります。