フィリピン語学学校の学生国籍比率の動向と考察

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写真は各国から集まった生徒たちが地元の旗を掲げています。学校はクラークのCIP

本日はフィリピン留学に参加するため世界中から集まった学生たちの国籍比率についてご報告いたします。
上記の写真では日本、韓国、スペイン、ベトナム、中国、タイ、台湾、ロシア、香港からフィリピン留学に参加した人たちが地元の国旗を掲げてポーズしています。学校はクラークCIP。

歴史で見るフィリピン語学学校国籍比率の動向

今から10年くらい前までのフィリピン語学学校の国籍比率はほぼ韓国人一色でした。それはフィリピン留学システムが韓国の人たちにより韓国の若い人たちむけに立ち上げられたからです。海外でも活躍できるビジネス戦士を作り上げる目的で1990年代後半にフィリピンで英語学校をどんどん設立していきます。これがフィリピン留学の始まりです。韓国政府もおしみなく財政支援をしたのであっという間に韓国フィリピン留学生人口が膨れ上がりました。
2010年代初頭にフィリピン留学の英会話即効効果に気づいた日本の企業がぽつぽつ学校を運営し始めます。2015年くらいには日本系フィリピン語学学校の創設ラッシュが起こります。そして日本人留学生の数も一気に増えます。フィリピン政府観光省の統計によりますと2010年には4,000人だったフィリピンへの日本留学生数は2015年には3万5千人まで増加しました。5年の間に約9倍の伸び率です。一方韓国人政府の財政支援縮小などにより、韓国人学生のフィリピン留学人口は2015年くらいから減り続けていくことになります。
2016年あたりからベトナム留学生が勢力に加入。そして2017年には台湾からの留学生が大幅に増え韓国、日本、台湾の3強とプラスアルファでベトナムという新時代に突入いたします。

フィリピン語学学校国籍比率の現状

大前提

フィリピン語学学校は500~600校あると言われています。それらを統括する統一組織などがありませんので正確な数字を把握する事はできません。但し学校数は韓国系が多く全体の7割、日本は2割くらいの数だと思います。

韓国資本の場合

こちらフィルイングリッシュが2019年11月に取引先20校のサンプル調査まとめた学生国籍比率です。フィルイングリッシュの学生国籍別統計

サンプル学校の平均国籍比率は

  • 韓国29%
  • 日本23%
  • 台湾24%
  • ベトナム11%
  • 中国8%
  • その他5%

サンプルとなった20校はフィリピン留学を代表する有名校を網羅いたしました。この中で唯一ZA English Maboloのみ純日本資本学校となりますが、他にサンプルが見つからず、比率も20校の中の1校、比率にして5%ですので、大きな影響はないと判断いたします。全韓国系学校の平均値ではないですが有名人気学校の平均値ですのでそれなりの基準になるはずです。
セブ:EV,CELLA UNI, I. Breeze, CPI, SMEAG Sparta, SMEAG Classic, CPILS, Cebu Blue Ocean, CIJ Premium, CIJ Sparta,ZA English Mabolo
バギオ:PINES Chapis, PINES Main, HELP Longlong, BECI Main, BECI the Café, MONOL
クラーク:CIP, HELPクラーク
マニラ:CNN

日本資本の場合

日本の学校は日本人生徒が8割以上という所が多いです。100%の学校も結構あります。
日本学校に日本人が集まりやすいのは日本人経営だから何かと安心という部分が一番大きいです。それ以外の要素としては①学校側が最初から日本人学生を対象にした日本人専用塾と考え、外国人の誘致活動をしない、②誘致活動はするものの学生がなかなか集まらない、等の理由を挙げられます。
最初から外国人学生の受け入れを想定していない学校は別として、意思があってもなかなか集められない学校の場合、その主な理由は学費が韓国学校より平均して2~3割高い事、そして学校運営の歴史が2~5年と短いので外国誘致機関との絆を深めるのに時間がかかっている事などの理由が挙げられます。
フィルイングリッシュが2019年初夏にベトナムのホーチミンで開催したフィリピン留学フェアにはフィリピンを代表する有名日本語学学校十数校がベトナム生徒誘致のため参加しました。時間はかかりますが国籍拡大の方向性は持っているのでいずれは日本人学校にも外国人留学生は増えていくと予想されます。
その他少数派ですが日本系の学校でも外国人の割合が多い所がいくつかあります。歴史がある程度長く外国学生誘致活動を積極的に展開する学校。代表的な存在としてQQ Englishがあります。韓国系が運営した語学学校を日本系が買い取って運営するケース。買収とともにスタッフ、システム、取引エージェント先なども引き継ぎます。代表的な学校としてZA Englishがあります。2019年11月の調査ではZA English Maboloの国籍比率トップはベトナム人の33%、日本人は2番目の29%でした。

国政比率が学校選びの指針になるかという問題

世界各国いろいろな国の旗

学術面

同じ学校で学ぶ学生たちが外国人であってもそれが英語力向上に大きく貢献する事はないと思います。外国の人たちも英語ができないからフィリピンに習いに行くのであるので、彼らから英語の教えを乞うような期待はできません。英語力自体を伸ばしてくれるのはあくまでもフィリピン人講師です。なので英語力相乗効果で外国人学生をあてにすべきではないと思います。

経験値面

英語面ではそれほどでもありませんが、経験値面では大きな貢献をいたします。
現在英語人口は15~20億人。その中でアメリカやイギリスなど生粋の英語母国語ネイティブ人口は4万人と少数派なので英語が世界各国のひとたちとをつなぐコミュニケーションツールとなっている側面がだんだん強くなってきています。いろいろな国籍の生徒に自分の英語が通じるかどうか腕試しできます。フィリピン留学には韓国、台湾、日本、ベトナム、中国だけでなく、フランス、サウジアラビア、オマーン、スペイン、ロシア、モンゴル、タイなど様々の国の生徒が参加しています。
多国籍学生交流で得られる貴重な体験は文化の違いによる衝突や葛藤です。
日本人は日本人に対して言ってはいけない事は言わないですし、フィリピン人講師は学生といえどお客様なので相手を怒らせるような言動は控えます。ですがなんのしがらみもない外国人生徒は思った事をずけずけ言ってきます。考えもしなかった発想などを目の当たりにすることもあります。決して相手の言っている事に同調できない場合でもそのような考え方がある事を気づかせてくれます。外国人と交流する上で避けては通れない部分をリハーサルできるという事です。
このような遠慮なしの葛藤や衝突がかえって絆を深める事もあり、語学学校内で知り合った同士で日本、韓国、台湾、ベトナムの家を訪問し合うような交流も増えています。

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