私がフィリピンで遭遇した小さな災難:料理人偽装泥棒

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泥棒注意の道路標識

人間生きているといろいろな目に遭いますね。数年前に発生した思いもよらぬ苦い体験談のひとつです。
事件は寄宿舎のまかないおばさんが家庭の事情で突然やめた事から泥棒事件へと発展いたします。

重宝するまかない家政婦の存在

まな板の上でトマトをカットする様子
海外長期生活をするにおいて食の問題は非常に大切です。2~3日ならともかく長期となってくると食べなれていない外国料理ばかり食べていると体調を崩す事にもつながります。
外国人在住者にとってフィリピンで貴重な存在となるのはがまかないができる家政婦です。和食、中華、韓国料理などを作って食卓に出してくれます。
カレー、とんかつ、テールスープ、キムチ、太刀魚の醤油煮魚、かき揚げとうどん、てんぷら、サムゲタン、ステーキ、ハンバーグ、豚汁、みそ汁、大根の和風漬物、きゅうりの浅漬け、ビビンパ、パスタ、麻婆豆腐などレパートリーは豊富です。
フィリピン家政婦は器用です。なんでもすぐ覚えて吸収します。それが出稼ぎ家政婦として世界中で重宝がられる理由でもあります。
ですがいくら起用な家政婦でも外国料理にもたけた料理人を探すのはコツがいります。むやみに探してもなかなか見つかるものではありません。探す先はフィリピン語学学校の料理人。学校に集まる学生の国籍は日本、韓国、中国、台湾、ベトナムとさまざまですので学食料理人はさまざまな国の料理を作ります。

リクルートした新料理人、実は泥棒

泥棒のイラスト
ただ和洋中韓の料理にたけた学食料理人を学校から借り受けするのは非常に大変です。学校が手放したがらないからです。いきなりですと今いる学生から料理の事で不満の声があがるかもしれません。通常学校に相談すると学校が一人料理人見習いを雇い、厨房で半年くらい修行させて一通り覚えさせてからレンタルしてくれます。
なかなか都合よく右から左へと事はうまくすすまないものです。そこで頼りにしたのがマニラのフィリピン人経営就職案内会社。たまたま中華と韓国料理に長けている登録料理人を紹介してもらいました。
ためしに3日間通いで料理を作ってもらいました。料理人はフィリピン人男性です。オムレツ、チャーハン、卵スープなど本当にうまかったです。彼の料理に満足した寄宿舎住人一同は満場一致で本採用を決めて寄宿舎管理人がこの料理人に寄宿舎の鍵を授けました。金曜日の夕方の事です。
事件が起こったのは土曜日深夜。
日曜日の朝外に出ようとしたところドアの前の垣根に新料理人に預けたはずの鍵が捨ててありました。嫌な予感!あたりを見回してみると監視カメラのコードがすべて引っこ抜かれていました。『やられた!』
自分の机の上をチェックすると僕のデジカメがなくなっていました。他の友人の被害としてはノートPC1台とIpadミニです。
深夜に奴の犯行現場でかち合う人がいなかったのはまだ不幸中の幸いとは言えます。けが人は誰もおりませんでした。料理人を装ってもぐりこんだ小悪党だったのです。

アテ(家政婦)という存在

フィリピンの寄宿舎や中流家庭には大体アテ(家政婦)が雇用されます。アテの仕事は食事、洗濯、掃除、ベビーシッターがメインです。通常は寮や家の小さな部屋の住み込みです。給料は大体月2万円ほどですが、中華や韓国、和食などを作る特殊技術を持っている人たちは3万円~5万円くらいもらえます。大きな寄宿舎ですと大体一日一人300円くらいの予算で料理を作ります。勤務日は月曜日から土曜日までで日曜日はお休みです。日曜日は食事が出ません。
今回の料理人泥棒は住み込みではなく、本人の希望により通いとなりました。

その後

まず寄宿舎の代表者が警察に行き被害届を出しました。あれから数年たちましたが、警察から連絡はありません。犯人はまだつかまっておりません。
殺人や傷害事件ではなくコソ泥事件なので、警察は本格的な調査はしてないような予感がします。
次は泥棒料理人を紹介した斡旋会社。『警察には通報した。そちらで起こった事は弊社の責任ではない。』の一点張り。自分が紹介した人間なのでこんな言い訳は日本では絶対通じないですけどフィリピンでは通ってしまう場合があります。この事件は紹介手数料を支払う前に起きたので当然支払っておりません。ですが結局僕のデジカメは誰も弁償しておりません。

 


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